日時 | 平成20年9月21日(日) |
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会場 | 沼津市民文化センター 小ホール |
出演 | 解説「本日の見どころ」: 観世 喜正 仕舞「菊慈童」: 津村 禮次郎 /「楊貴妃」: 観世 喜之 狂言「千鳥」: 山本 則直 ほか 能「石橋」: 大獅子 桑田 貴志/ 観世 喜正 ほか |
第5回目の能楽鑑賞会を記念して、祝言曲である、「石橋」を披露。 『獅子舞』は、日本だけでなく東アジア各国で伝承され、神事や祝事で演じられています。能「石橋」に登場する、『文殊の浄土で舞う獅子』も華やかでダイナミックな演出となっている。
大江定基は出家して寂昭法師(ワキ)と名のり、唐・天竺へ渡り各地を巡礼する途中、唐の清涼山に参り有名な石橋の前に着き、この橋を渡ろうとした。すると、どこからともなく、老人(前シテ)が現れ、寂昭が橋を渡ることをとどめる。この橋は、文殊の浄土へつながっていると言われており、かつての名高い高僧達も難行苦行の末なんとか渡ることの出来た橋であり、今たやすく渡ろうとすることは、たいへん危険であると忠告するのである。老人は、この石橋は人間が渡したものではなく自然に現れた橋であると言う。幅は一尺に満たないが長さは三丈余りもあり、さらに苔に覆われ大変滑りやすく、また谷の深さは千丈を越えると謂われている。橋の景観は壮大で目を見張るばかりだが、谷底を眺めると、足はすくみ気を失い、並みの人間が渡ることは不可能である。ただ、石橋の向こうは文殊の浄土であり、いつも妙なる音楽が響き、花が振り舞っていると謂われているが、暫く待てばその景色を見ることが出来るだろうと言い残し、老人は静かに消える。(中入) 橋の傍らで待つ寂昭法師の前に、紅白の獅子(後シテ・ツレ)が豪壮に現れた。牡丹の花が華麗に咲き誇るなか、獅子達は舞い戯れ、萬歳千秋を祝う。
大獅子の小書によって、後は紅白の獅子の相舞いとなり、一段と興趣が増す。白獅子はどっしりと、赤獅子は俊敏にと対照的な動きを見せ、舞台狭しと入り乱れて舞う姿は圧巻である。