能楽師・桑田貴志 深川能舞台WEBサイト

公演レポート

観世九皐会定例会 「春日龍神」


日時 平成20年12月14日(日)
会場 矢来能楽堂
出演 シテ: 桑田 貴志
ワキ: 安田 登ほか
「春日龍神」あらすじ

明恵上人(ワキ)は、仏法修行のために中国・インドへ渡ろうと志し、その前に春日明神へ参詣する。折から現れた宮守の老人(前シテ)にその旨を伝えたところ、宮守はその志しを固く止め、釈迦在世の世ならば中国・インドに学ぶこともあろうが、今の世はこの春日山こそ仏教の聖地である霊鷲山であり、中国・インドへ渡る必要はないと述べる。さらに、天台山を拝みたければ比叡山に、五臺山を訪れたければ吉野山・筑波山に参ればよいと説き、なおも春日野の神慮を語る。そこまで聞いて明恵上人は、これは神託かと思い、中国・インドに渡るのを思いとどめる。宮守は、自分は時風秀行であると名告り、釈迦の誕生から入滅までをここにて見せようと言って消える。やがて春日野は一面金色の世界となり、龍神(後シテ)が百千もの仲間を引き連れて現れる。そして釈迦の誕生より入滅を見せ、明恵上人が中国・インドへ渡ることを断念したことを確認すると、大蛇となって波を蹴立てて消えて行く。

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