日時 | 平成18年9月18日(月・祝) |
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会場 | 沼津市民文化センター小ホール |
出演 | 解説:見どころ 観世喜正 狂言:「寝音曲」 山本則俊 ほか 仕舞:「砧島」 観世喜之 仕舞:「山姥キリ」 観世喜正 ワキ:森 常好ほか |
鄙びた「みちのく」に人喰いの鬼婆が住んでいた・・・という伝説がありま す。この婆、業を負った罪深い生き様に絶望し、輪廻煩悩を絶ちたいを願ったいた。だからこそ快く山伏を迎えたが、山伏たちは「見てはいけないもの」を覗い てしまいます。欺かれ怒った女は鬼女と化す。能では「般若」と呼ばれる面をかけて「鬼女」になったことを表します。それは決して荒々しい鬼ではなく、苦し みから逃れたかっただけの寂しい女の姿。「恥ずかしの我が姿や」と言い残して消えていくのです。
諸国巡りの山伏・祐慶(ワキ)は、陸奥の安達原にて辺りの人家に一夜の宿を頼む。その家の主(前シテ)は旅の慰みに「枠かせ輪」という糸を操る道具を使 い、糸にちなんだ唄を歌いながら糸を操ってみせる。やがて女は暖を取るため山に薪を採りに行くが、山伏達に留守中、自分の寝室を決して覗かないように念を 押すのであった。(中入)山伏は寝室を覗くつもりなどなかったが、同行の能力(アイ)は好奇心から、つい内を覗き、人の死骸が山と積まれている恐ろしい室 内に驚嘆した。能力の報告を受けた山伏は、ここは鬼が住むという黒塚であったかと急いで逃げる。山より戻った女は逃げる山伏達を見つけ、鬼女(後シテ)の 本性を現して追いかける。鬼女は約束を破られたことを恨み、襲いかかるが山伏達の懸命な祈りに退散する。