能楽師・桑田貴志 深川能舞台WEBサイト

公演レポート

観世九皐会 6月定例会「清経」


日時 平成18年6月10日(土)
会場 矢来能楽堂
出演 シテ:桑田貴志
ツレ:小島英明
ワキ:村瀬  堤 ほか
高砂あらすじ

平清経(シテ)は筑紫での戦いに敗れた後、平家の行く末に絶望し、名も無き雑兵に殺されるよりはと、海に身を投げ命を絶つ。清経の家臣、淡津三郎(ワキ)は、その形見の黒髪を携えて清経の妻(ツレ)のもとを訪ねる。夫の死を聞いた妻は、見るたびに夫を思い出させる形見の黒髪を手向け返してしまう。その夜、妻の枕もとに清経の霊が現れる。自分を残して自害した清経を恨む妻に、自害に至るまでのいきさつを語って聞かせる。平家一門は、参詣した宇佐八幡で絶望的な神託を受ける。神にも見放された平家一門は、もはや抜け殻である。生きる気力を失った清経は十念仏を唱えると、西の海に沈んで行く月に連れられるように海に身を投げたのであった。夫の話を聞いた妻は夫婦の契りが恨めしいと嘆くが、清経はこの世も地獄も同じ泡沫の世であると答え、修羅道の苦験を語って聞かせる。その中でも自らは、最期の際に十念仏を唱えた仏果によって成仏していると告げ、感謝するのであった。

過去の公演レポート一覧へ